
Movement Fundamentals(以下、MOF)®︎は、
スポーツや身体表現における**「自在な動き」の獲得**を目的とした、運動構築・学習・指導の体系です。
複雑で予測不可能な環境下でも、安全に、効率的に、そして思い通りに動く力を段階的に身につけることを目指します。
🧠 動きの単位を理解する
MOFでは、あらゆる動きを**「最小単位=ムーブメントプリミティブ」**として捉えます。
これは音楽でいう単音やリズムセルのようなものであり、複雑な運動もこれらを組み合わせることで構成されていると考えます。
このアプローチにより、アスリートや指導者は動きの構成要素を把握し、目的に応じて自在に再構築することが可能になります。
⚠️ 避けるべき「Disrhythm」とは?
MOFでは、怪我のリスクを高める不自然な動きのリズム構造を
**”Disrhythm(ディスリズム)”**と定義します。
Disrhythmとは、リズムセルの連続性やタイミングが乱れ、
出力と吸収の移行がスムーズでない状態を指します。
MOFでは、多様な動きの構築と練習過程で、このDisrhythmを予測・検出・回避する能力の獲得を重視しています。
🔄 理論の統合:トップダウンとボトムアップの融合
MOFは、従来の運動制御理論を融合的に捉え直します。
- トップダウン型(スキーマ理論)
意図や記憶に基づいた動きの計画と生成 - ボトムアップ型(ダイナミックシステム理論)
身体や環境との相互作用によって生じる動きの調整と適応
この2つのアプローチを統合し、階層的な制御・モジュール化・チャンキングを活用して、より柔軟で汎用的な動きの獲得を目指します。
🎯 Multi D.M.C. × S.A.F.E.
MOFが追求するのは、以下の4つの質を備えた運動です:
要素 | 説明 |
Safe | 身体への負担を抑え、ケガを防ぐ安全な動き |
At will | 状況に応じて自在にコントロールできる動き |
Fun | 学習意欲を引き出し、楽しく取り組める運動体験 |
Efficient | エネルギーを無駄にせず、目的に直結する動き |
これらをMulti Directional / Multi Mode / Multi Context(多方向・多様式・多文脈)な場面で発揮できるよう、運動の質を設計・学習していきます。
🏃♂️ 指導・コーチングの考え方
MOFでは、アスリートが柔軟かつ戦術的な意図に沿った動きを身につけるために、
段階的に「適応性」と「即時性」を高める学習プロセスを指導の中核に据えています。
MOFの段階的コーチングアプローチ:
- ムーブメントプリミティブ(基本出力)の習得
- プリミティブの組み合わせによる応用動作の形成
- 意図的制御とリアルタイム調整のトレーニング
- タスク解決型の環境設計による実戦的学習
- Disrhythmの検出と再構成による「リズムの安全性」の向上
このような指導を通じて、選手はその場の文脈に即した、しなやかで破綻のない動きを選択・修正する力を育みます。
🧭 タスク達成のための動きの戦略
MOFでは、アスリートの「やりたい動き」ではなく、「達成すべきタスク」から逆算して動きを設計します。
- 目的に合ったムーブメントプリミティブの特定
- 組み合わせ方のロジック
- 学習方法とフィードバック設計
- Disrhythmを避け、アトラクターとしての効率的動作を安定させる制御戦略
これにより、アスリートは目的に応じた最適なムーブメント戦略を自ら構築できるようになります。
🔚 :動きを”使える力”に変える
MOFは、単なる動作習得ではなく、
「状況に応じて動きを選び、調整し、使いこなす力」を育てる運動学習の新しいかたちです。
動きの破綻を引き起こすDisrhythmを回避しながら、
思考・感覚・出力を統合して、アスリートが現場で真に活かせる動きを獲得する。
それが、MOFが目指す「自在な動き=Movement Fundamentals」の本質です。